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AIの活用が広がるなか、業務効率化や生産性向上を目的に、ChatGPTなどの生成AIを導入する企業が増えています。一方で、AIへの入力による情報漏洩、不正アクセス、AIが生成した誤情報の利用など、企業が注意すべきリスクも存在します。
「社員が生成AIを使っているが、どのような情報を入力してよいのかわからない」
「AIを導入したいものの、情報漏洩やセキュリティ上の問題が心配」
「社内ルールを整備したいが、何から始めればよいのかわからない」
このような課題を抱えている企業もあるのではないでしょうか。
AIのセキュリティ対策では、セキュリティ機能が充実したサービスを選ぶだけでなく、利用ルールの整備、アクセス管理、社員教育、運用状況の確認などを組み合わせることが重要です。
この記事では、AIのセキュリティ対策の基本から、企業が知っておきたい主なリスク、具体的な対策、導入手順までわかりやすく解説します。
AIのセキュリティ対策とは?
- AIのセキュリティ対策の基本的な意味
- 企業でAIのセキュリティ対策が必要とされる理由
- 従来の情報セキュリティ対策との違い
- 企業が対策すべきAIの種類
AIのセキュリティ対策とは、AIサービスやAIを利用する業務に関する情報漏洩、不正利用、サイバー攻撃、誤った出力によるトラブルなどのリスクを把握し、被害を防いだり影響を抑えたりするための取り組みです。
対象となるのは、ChatGPTなどの生成AIだけではありません。AIを組み込んだ業務システム、顧客対応チャットボット、画像認識システム、AIエージェントなども対策の対象になります。
企業のAI活用では、主に次の3つの観点から対策を考える必要があります。
- 情報を守る: 個人情報、顧客情報、営業秘密などの漏洩を防ぐ
- システムを守る: 不正アクセスや不正な操作、攻撃による被害を防ぐ
- 業務を守る: AIの誤出力や不適切な利用によるトラブルを防ぐ
米国国立標準技術研究所(NIST)は、AIに関するリスクを管理するための「AIリスクマネジメントフレームワーク」を公開しています。AIのリスク管理は、導入時だけでなく、開発・運用・評価などの各段階で継続的に取り組むことが重要です。
参考:NIST「AI Risk Management Framework」
AIのセキュリティ対策が必要とされる理由
AIのセキュリティ対策が必要とされる理由の一つは、AIを利用することで、これまでとは異なる情報管理上の課題が生まれるためです。
たとえば、社員が生成AIに顧客への提案書を作成させるため、顧客名や契約条件、未公開の製品情報などを入力したとします。このとき、入力した情報がどのように処理・保存されるのか、サービスの設定や契約条件によっては十分に把握できていない可能性があります。
また、AIの出力を十分に確認せずに業務で使用すると、誤った情報を顧客に伝えたり、不適切な判断につながったりするおそれもあります。
さらに、AIは攻撃者にも利用されます。フィッシングメールの作成や偽情報の生成などに悪用される可能性があるため、AIを導入する企業だけでなく、AIを利用していない企業にとっても無関係とはいえません。
情報処理推進機構(IPA)も、2026年4月公開の「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」で、AIの悪用や脆弱性を狙った攻撃などのセキュリティ課題を取り上げています。
AIの活用を一律に禁止すれば、情報漏洩などのリスクを抑えやすくなる場合はあります。しかし、社員が個人アカウントでAIを利用したり、管理者が把握していないサービスを業務に使ったりする可能性も考えられます。
そのため、AIの利用を単純に禁止するのではなく、どの業務で、どのAIを、どのようなルールで利用するのかを明確にすることが重要です。
従来の情報セキュリティ対策との違い
AIのセキュリティ対策には、従来の情報セキュリティ対策と共通する部分があります。
たとえば、アカウント管理、アクセス制御、多要素認証、ログの確認、データの暗号化などは、AIを利用する場合にも重要です。
一方で、AIを利用することで、従来の対策だけでは捉えにくいリスクも生まれます。
| 項目 | 従来の情報セキュリティ対策 | AI利用時に追加で考えたい対策 |
|---|---|---|
| 情報管理 | ファイルやデータベースのアクセス制御 | AIに入力してよい情報の範囲を定める |
| システム管理 | 不正アクセスやマルウェアへの対策 | AIの連携先や自動実行できる操作を管理する |
| 業務上の判断 | 担当者による確認や承認 | AIの誤情報や不適切な出力を検証する |
| 社員教育 | パスワードやメールの安全な取り扱い | プロンプトへの入力やAI出力の扱いを教育する |
| 運用管理 | システムの監視や障害対応 | AIの利用状況や新たに生じるリスクを見直す |
AIを安全に利用するためには、既存の情報セキュリティ対策を土台にしながら、AI特有の使い方やリスクに合わせたルールを追加する必要があります。
企業が対策すべきAIの種類
企業が対策を検討する際には、社内で利用しているAIの種類を把握することが出発点になります。
主な対象は次のとおりです。
- 生成AI: 文章、画像、音声、プログラムなどを生成するAI
- AIチャットボット: 社内問い合わせや顧客対応などを行うAI
- 予測・分析AI: 売上予測、需要予測、データ分析などに利用するAI
- AIエージェント: 指示に基づいて複数の処理や外部サービスの操作を行うAI
- AI組み込み型業務システム: CRM、営業支援、文書管理などにAI機能を組み込んだシステム
特に注意したいのは、会社が正式に導入したAIだけでなく、社員が独自に使っているAIサービスも把握することです。
会社が把握していないAI利用があると、情報の入力先や管理責任が不明確になり、問題が発生した際に状況を把握しにくくなります。
AIのセキュリティ対策では、情報漏洩や不正アクセスだけでなく、誤情報やAI特有の攻撃にも備える必要があります。まずは社内で利用されているAIを把握し、既存の情報セキュリティ対策にAI特有のルールを加えましょう。
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企業が知っておきたいAIの主なセキュリティリスク
- 生成AIへの入力による情報漏洩リスク
- 個人情報・機密情報の不適切な取り扱い
- AIが生成した誤情報による業務トラブル
- 不正アクセスやアカウント乗っ取り
- プロンプトインジェクションなどのAI特有の攻撃
- AIを悪用したサイバー攻撃や詐欺
AIのリスクは、単に情報が外部に漏れることだけではありません。情報の正確性、システムの権限、外部サービスとの連携、攻撃者による悪用など、複数の観点から確認する必要があります。
生成AIへの入力による情報漏洩
生成AIを利用する際に注意したいのが、プロンプトに入力する情報です。
たとえば、次のような情報を不用意に入力すると、企業の情報管理上の問題につながる可能性があります。
- 顧客の氏名、住所、連絡先などの個人情報
- 未公開の売上データや事業計画
- 契約書や見積書に記載された機密情報
- 社内システムの認証情報やAPIキー
- 公開前の製品情報や研究開発資料
入力したデータの取り扱いは、利用するサービスや契約、設定などによって異なります。入力内容がどのように保存・利用されるのかを確認せずに使うことは避けましょう。
個人情報を含む情報を扱う場合は、個人情報保護法などの関連法令や社内規程との整合性も確認する必要があります。個人情報保護委員会も、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。
参考:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
個人情報・機密情報の不適切な取り扱い
AIに情報を入力する場合、入力先のサービスだけでなく、入力する情報そのものを確認することも大切です。
たとえば、顧客から預かったデータをAIで分析する場合、社内で利用が認められているサービスなのか、データの利用目的に問題がないか、契約上の制約がないかを確認する必要があります。
「名前を削除したから安全」とは限りません。部署名、取引内容、日付、特殊な属性などの組み合わせから、個人や企業が推測される場合もあります。
そのため、必要な情報だけを扱う、不要な識別情報を削除する、利用権限を制限するなど、複数の対策を組み合わせることが重要です。
AIが生成した誤情報による業務上のトラブル
生成AIは自然な文章を作成できますが、出力内容が必ずしも正確とは限りません。
存在しない情報を事実のように説明したり、古い情報を最新情報として提示したり、計算や引用を誤ったりすることがあります。
こうした出力をそのまま顧客への回答、社外向け資料、契約関連の文書などに使用すると、信用の低下や業務上の損害につながる可能性があります。
対策としては、次のような方法が考えられます。
- 重要な数値や事実は信頼できる資料と照合する
- 法務・財務・人事などの重要な判断は担当者が確認する
- 社外に提出する資料には承認手順を設ける
- AIの出力をそのまま採用せず、根拠を確認する
AIは業務を支援する道具であり、最終的な判断や責任まで自動的に引き受けるものではありません。人間による確認を業務フローに組み込むことが大切です。
不正アクセスやアカウント乗っ取り
AIサービスのアカウントが不正利用されると、登録情報や保存データが閲覧されたり、契約内容によっては意図しない利用料金が発生したりする可能性があります。
特に、複数の社員でアカウントを共有している場合や、退職者のアカウントが放置されている場合は、利用者の特定や権限管理が難しくなります。
対策として、社員ごとのアカウント管理、多要素認証、退職・異動時の権限見直し、管理者による利用状況の確認などを行いましょう。
また、AIサービスのログインを装ったフィッシングメールにも注意が必要です。正規のログインページかどうかを確認し、不審なリンクから認証情報を入力しないよう社員に周知することも欠かせません。
プロンプトインジェクションなどAI特有の攻撃
AIを利用するシステムでは、プロンプトインジェクションと呼ばれる攻撃にも注意が必要です。
これは、AIに処理させる文章や外部データなどに不正な指示を紛れ込ませ、システムが本来のルールから逸脱するよう誘導する攻撃です。
たとえば、社内文書を検索するAIが、文書内に含まれた不正な指示に影響され、想定していない情報を回答に含めてしまうようなケースが考えられます。
AIエージェントがメール送信、ファイル操作、外部システムへの登録などを実行できる場合は、影響が大きくなるおそれがあります。
対策としては、AIに与える権限を必要最小限にする、機密情報へのアクセスを制限する、重要な操作には人間の承認を求める、外部から取得したデータを無条件に信頼しない、といった仕組みが重要です。
AIを悪用したサイバー攻撃や詐欺
AIは防御側の業務を支援する一方、攻撃者にも利用される可能性があります。
たとえば、自然な日本語のフィッシングメールを作成したり、特定の相手に合わせた詐欺メッセージを生成したり、音声や画像を使って本人になりすましたりする手口が考えられます。
このような攻撃では、文章の不自然さだけを見て偽物と判断することが難しくなる場合があります。
企業では、メールの送信元やURLを確認する従来の対策に加えて、送金先の変更や機密情報の開示など、重要な依頼は別の連絡手段で本人確認するルールを設けるとよいでしょう。
AIの主なリスクには、入力情報の漏洩、誤情報、不正アクセス、プロンプトインジェクション、AIを悪用した詐欺などがあります。入力する情報、AIに与える権限、出力内容、本人確認の手順をそれぞれ管理しましょう。
企業が実施すべきAIのセキュリティ対策7選
- AIの社内利用ルールを整備する方法
- 機密情報や個人情報の入力を制限する方法
- AIサービスの安全性を確認するポイント
- アカウント管理やアクセス権限の対策
- AIの出力確認と社員研修の進め方
- インシデント発生時に備える方法
AIのリスクをすべて完全に排除することは簡単ではありません。しかし、利用ルール、技術的な管理、社員教育を組み合わせることで、リスクを低減し、問題が発生した際の影響を抑えやすくなります。
ここでは、企業が取り組みたい7つの対策を紹介します。
1. AIの利用ルールと社内ガイドラインを整備する
最初に取り組みたいのが、AIの利用ルールを明確にすることです。
ルールが曖昧なままだと、社員ごとに判断が異なり、ある社員は入力してよいと考えた情報を、別の社員は入力すべきではないと考えるなど、運用にばらつきが生まれます。
社内ガイドラインには、少なくとも次の項目を盛り込みましょう。
- 業務で利用できるAIサービス
- 入力してよい情報と入力禁止の情報
- AIの出力を業務で利用する際の確認手順
- AIによって生成した文章や画像の取り扱い
- アカウントやアクセス権限の管理方法
- 問題が発生した場合の報告先と対応手順
大切なのは、禁止事項を並べるだけで終わらせないことです。
「顧客情報を入力してはいけない」と伝えるだけでなく、「顧客向け文書を作成する場合は、個人情報を除いた文章を使う」「許可された環境で処理する」といった具体的な代替方法も示すと、社員がルールを守りながらAIを活用しやすくなります。
2. 機密情報や個人情報の入力を制限する
AIへの入力を管理するためには、情報の種類に応じたルールが必要です。
たとえば、情報を次のように分類する方法があります。
| 情報の分類 | 取り扱いの例 |
|---|---|
| 公開情報 | 社外に公開済みの情報。社内ルールの範囲で利用する |
| 社内限定情報 | 社内資料など。許可されたサービスと用途に限定する |
| 機密情報 | 未公開の事業計画、契約情報など。原則として入力を制限し、例外は承認制にする |
| 個人情報・認証情報 | 顧客情報、パスワード、APIキーなど。原則として入力を禁止し、必要な処理は正式な手順に従う |
この分類は一例です。実際には、自社の情報管理規程、契約、法令上の要件に合わせて決める必要があります。
また、データを匿名化・マスキングする場合も、個人や企業を再特定できないか確認しましょう。
3. 利用するAIサービスの安全性を確認する
AIサービスを導入するときは、機能や価格だけでなく、データの取り扱いと管理機能を確認することが重要です。
主な確認項目は次のとおりです。
- 入力データがモデルの学習に利用されるか
- データが保存される期間と削除方法
- 通信時や保存時の暗号化
- 多要素認証やアクセス制御への対応
- 管理者が利用状況を確認できるか
- 外部サービスとの連携範囲
- インシデント発生時の連絡・対応体制
- 契約条件やデータの取り扱いに関する規定
同じサービス名であっても、個人向けプランと法人向けプラン、契約内容、管理設定などによって条件が異なることがあります。一般的な説明だけで判断せず、自社が実際に利用するプランの規約や公式資料を確認しましょう。
4. アカウント管理とアクセス権限を徹底する
AIサービスを安全に運用するためには、誰が何を利用できるのかを管理する必要があります。
具体的には、次のような対策が挙げられます。
- 社員ごとにアカウントを発行する
- 多要素認証を有効にする
- 業務に必要な範囲だけ権限を付与する
- 退職・異動時にアカウントや権限を見直す
- 不要になった外部連携やAPIキーを無効化する
- 利用状況や重要な操作のログを確認する
特に、AIエージェントや社内データと連携するAIでは、権限の設定が重要です。
AIに大量のデータへのアクセス権や外部サービスの操作権限を与えると、誤動作や不正な指示があった場合の影響が大きくなる可能性があります。
最初から広い権限を与えるのではなく、必要な機能から段階的に導入する方法が現実的です。
5. AIの出力結果を人間が確認する
AIの出力は、必ずしも正確性や適切性が保証されているわけではありません。
そのため、AIを業務に組み込む際には、どの出力を人間が確認する必要があるのかを決めておきましょう。
たとえば、社内向けのアイデア出しと、顧客に提示する契約条件の説明では、求められる確認の水準が異なります。
リスクに応じて確認手順を変えることが大切です。
- 社内のアイデア出し:内容を担当者が確認する
- 社外向け資料:事実関係、引用、機密情報の有無を確認する
- 法務・財務などの重要な判断:専門知識を持つ担当者が検証する
- AIによる自動処理:実行前の承認や処理後の監視を設ける
すべての出力を同じ手順で確認すると、業務効率が低下する可能性があります。業務への影響度に応じて確認レベルを設計することが重要です。
6. 社員向けのAIセキュリティ研修を実施する
社内ルールを作っても、社員が内容を理解していなければ十分な効果は期待できません。
そのため、AIのセキュリティ対策では、社員向けの教育も重要です。
研修では、次のような内容を扱うとよいでしょう。
- AIに入力してはいけない情報
- 利用が認められたAIサービスの確認方法
- AIが生成した情報の検証方法
- フィッシングやなりすましへの対処
- AIの誤動作や情報漏洩が疑われる場合の報告方法
- 社内ガイドラインに沿った実践演習
知識を説明するだけでなく、具体的な業務場面を使った演習を取り入れると、社員が判断基準を身につけやすくなります。
たとえば、架空の顧客情報を含む文章を提示し、「どの情報を削除すればAIで安全に要約できるか」を考えてもらう方法があります。
7. インシデント発生時の対応手順を決める
AIに関するトラブルは、事前の対策だけで完全に防げるとは限りません。
社員が誤って機密情報を入力した場合や、AIサービスのアカウントが不正利用された疑いがある場合に備えて、対応手順をあらかじめ決めておきましょう。
対応手順には、次のような内容を含めます。
- 何が起きたのか、いつ発生したのかを確認する
- 被害の拡大を防ぐため、必要に応じてアカウントや連携を停止する
- 情報システム部門や管理責任者に報告する
- 入力・出力の内容、操作履歴など、必要な記録を保全する
- 影響範囲を調査し、必要な対応や関係者への連絡を検討する
- 原因を分析し、ルールやシステムを改善する
個人情報の漏洩などが疑われる場合には、状況に応じて法令上の報告・通知義務も確認する必要があります。
重要なのは、社員が問題を隠さず、速やかに報告できる環境を整えることです。報告した社員を一方的に責める運用では、問題の発見が遅れるおそれがあります。
AIのセキュリティ対策は、利用ルール、情報管理、サービス選定、権限管理、出力確認、社員教育、インシデント対応の7つを組み合わせて進めましょう。技術的な対策だけでなく、社員が正しく判断できる運用体制を整えることが重要です。
AIサービスを導入するときのセキュリティ確認ポイント
- 入力データが学習に利用されるか確認する方法
- データの保存期間と削除方法の確認
- 暗号化やアクセス制御などの機能
- 外部サービスとの連携範囲
- 契約内容やデータの取り扱い条件
AIサービスの導入前には、社内での利用目的や取り扱うデータを明確にしたうえで、サービスの安全性を確認しましょう。
入力データが学習に利用されるか確認する
AIサービスを選ぶ際には、入力データがモデルの学習やサービス改善に利用されるかどうかを確認します。
ただし、「学習に利用されない」という条件だけで安全性を判断するのは不十分です。
データの保存、アクセスできる担当者、外部委託先、削除の仕組みなども確認する必要があります。
データの保存期間と削除方法を確認する
入力データや会話履歴、ログなどがどの程度の期間保存されるか、利用者が削除できるか、削除後にどのように扱われるかを確認しましょう。
データの保存条件はサービスや機能によって異なる場合があります。自社の情報管理方針に合った条件かどうかを、公式資料や契約内容で確認することが大切です。
暗号化やアクセス制御などの機能を確認する
AIサービスが備えるセキュリティ機能も重要な確認項目です。
通信・保存データの暗号化、多要素認証、役割に応じたアクセス制御、監査ログ、管理者向け機能などを確認しましょう。
ただし、機能があるだけでは十分ではありません。自社の運用に合った設定ができるか、管理者が継続的に運用できるかも確認してください。
外部サービスとの連携範囲を確認する
AIサービスがメール、クラウドストレージ、社内データベース、業務システムなどと連携する場合は、連携先のデータにどこまでアクセスできるのかを確認します。
連携するサービスや権限が増えるほど、設定ミスや不正な操作が発生した場合の影響範囲も広がる可能性があります。
まずは必要最小限のデータや機能に限定し、検証したうえで利用範囲を広げるとよいでしょう。
契約内容やデータの取り扱い条件を確認する
法人でAIサービスを利用する場合は、利用規約や契約書、データ処理に関する条件などを確認しましょう。
特に、顧客情報や機密情報を扱う場合には、データの利用目的、第三者への提供、委託先の管理、契約終了時のデータの取り扱いなどを確認することが重要です。
必要に応じて、法務担当者や情報セキュリティの専門家にも相談しましょう。
AIサービスを選ぶ際は、学習への利用の有無だけでなく、データの保存・削除、暗号化、アクセス制御、外部連携、契約条件まで確認しましょう。実際に利用するプランの公式資料と契約内容を確認することが重要です。
企業のAIセキュリティ対策を進める手順
- 社内で利用されているAIサービスを洗い出す方法
- 情報漏洩などのリスクを評価する方法
- 対策の優先順位を決めるポイント
- 管理体制の整備と運用状況の見直し方
AIのセキュリティ対策は、一度にすべてを整備する必要はありません。まずは現状を把握し、リスクの高い部分から段階的に対策を進める方法が現実的です。
1. 社内で利用されているAIサービスを把握する
最初に、会社で利用しているAIサービスを洗い出します。
正式に導入したサービスだけでなく、社員が個人で契約したサービスや、業務システムに組み込まれたAI機能も対象にします。
利用者、利用目的、入力するデータ、外部連携の有無などを整理すると、管理が必要な領域を把握しやすくなります。
2. 情報漏洩などのリスクを洗い出す
次に、利用状況に応じたリスクを確認します。
たとえば、顧客情報を入力しているのか、AIが社内データにアクセスできるのか、生成した文章を誰が確認しているのかなどを調べます。
リスクを洗い出す際には、発生する可能性だけでなく、問題が起きた場合の影響も考慮しましょう。
3. リスクに応じて対策の優先順位を決める
すべての問題に同時に対応するのが難しい場合は、優先順位を決めます。
たとえば、機密情報の入力を制限するルールがない、管理者が不明なAIサービスがある、AIエージェントに広い権限が付与されている、といった問題は、早めに確認したい項目です。
発生可能性と影響度をもとに評価し、優先度の高い対策から着手しましょう。
4. 利用ルールと管理体制を整備する
リスクを把握したら、利用ルールを定め、誰が管理するのかを明確にします。
情報システム部門だけに任せるのではなく、経営層、業務部門、法務・コンプライアンス担当などが必要に応じて連携することが重要です。
また、ルールを公開するだけでなく、社員が疑問を相談できる窓口を設けると、運用上の問題を早めに発見しやすくなります。
5. 運用状況を定期的に見直す
AIサービスや利用方法は変化するため、導入時に決めたルールをそのまま使い続けるのではなく、定期的に見直す必要があります。
新しいサービスの利用開始、機能追加、外部連携の変更、インシデントの発生などを見直しのきっかけにするとよいでしょう。
利用状況を確認し、必要に応じてルールや研修内容を更新することで、継続的なリスク管理につなげられます。
AIのセキュリティ対策は、社内の利用状況を把握し、リスクを洗い出して優先順位を決めるところから始めましょう。ルールを整備した後も、利用状況やサービスの変化に応じて継続的に見直すことが重要です。
AIセキュリティ対策でよくある失敗と注意点
- 禁止するだけのルールが抱える問題
- ガイドラインを更新しないリスク
- ツールの安全性だけでは不十分な理由
- 社員教育と運用体制を整える重要性
禁止するだけで具体的なルールを設けない
「AIに機密情報を入力してはいけない」と禁止するだけでは、社員が具体的に何をすればよいのかわからない場合があります。
安全に使えるサービスや、情報を加工して利用する方法、判断に迷ったときの相談先なども示しましょう。
ガイドラインを作成したまま更新しない
AIサービスの機能や社内での利用方法が変わると、以前のルールでは対応できない場合があります。
定期的な見直しに加え、サービスの追加や重要な仕様変更があったときに確認する仕組みを設けましょう。
ツールの安全性だけでリスクを判断する
セキュリティ機能が充実したAIサービスを選んでも、社員が不適切な情報を入力したり、出力結果を確認せずに利用したりすれば、問題が起きる可能性があります。
サービスの安全性と、社内の運用ルール・教育・管理体制を組み合わせて対策することが大切です。
社員教育や運用体制の整備を後回しにする
AIのセキュリティ対策を情報システム部門だけの課題と捉えると、実際にAIを使う現場との間で認識のずれが生じることがあります。
社員が日常業務の中で判断できるように、具体例を交えた教育を行い、必要なときに相談できる体制を整えましょう。
AIセキュリティ対策は、禁止事項を定めたり、安全なツールを選んだりするだけでは不十分です。社員が安全に使う方法を理解し、ルールを継続的に更新できる運用体制を整えましょう。
中小企業でもAIのセキュリティ対策は必要?
- 中小企業にもAIセキュリティ対策が必要な理由
- 限られた予算で優先したい対策
- 外部の専門家や研修サービスを活用するメリット
AIのセキュリティ対策は、大企業だけに必要なものではありません。
中小企業であっても、顧客情報、取引先情報、見積書、契約書、従業員情報などを扱っている場合は、情報の取り扱いに注意する必要があります。
少人数の企業でも情報漏洩リスクはある
社員数が少なくても、取引先から預かった情報や未公開の事業情報を扱っていれば、漏洩した際の影響は小さくありません。
また、専任の情報システム担当者がいない企業では、AIサービスの利用状況やアカウント管理が十分に把握されていない場合も考えられます。
そのため、まずは利用サービスの把握、入力禁止情報の明確化、アカウント管理など、基本的な対策から始めることが大切です。
限られた予算で優先すべき対策
予算や人員が限られている場合は、費用をかけずに始められる対策から着手する方法があります。
- 社内で利用しているAIサービスを一覧化する
- 機密情報や個人情報の入力ルールを定める
- 利用を認めるサービスを明確にする
- 多要素認証を設定する
- 社員向けの簡単な利用ガイドを作成する
- トラブル発生時の報告先を決める
ただし、無料で始められる対策だけですべてのリスクに対応できるとは限りません。取り扱う情報や業務の重要度に応じて、法人向けサービスや専門家の支援も検討しましょう。
外部の専門家や研修サービスを活用するメリット
AIのセキュリティ対策を社内だけで進めるのが難しい場合は、外部の専門家や研修サービスを活用する方法もあります。
外部の支援を利用することで、リスクの洗い出し、社内ルールの整備、社員教育、運用体制の見直しなどを進めやすくなる場合があります。
支援を依頼する際は、自社の業種や利用目的に合った支援内容か、成果物や対応範囲が明確か、導入後の運用まで相談できるかを確認しましょう。
中小企業でも、顧客情報や機密情報を扱うならAIのセキュリティ対策は欠かせません。まずは利用サービスの把握、入力ルール、アカウント管理など、優先度の高い基本対策から始めましょう。
AIのセキュリティ対策に関するよくある質問
- 生成AIを業務で利用する際の注意点
- ChatGPTを安全に使うための基本
- 無料AIサービスの業務利用を判断する方法
- 社内利用を禁止すべきかどうかの考え方
- 最初に取り組みたい対策
生成AIを使うだけでもセキュリティ対策は必要?
はい。生成AIを文章作成や要約などに利用する場合でも、入力する情報や利用するサービスによっては情報管理上のリスクがあります。
特に、個人情報や機密情報を入力する可能性がある場合は、入力ルールやサービスのデータ取り扱い条件を確認することが重要です。
ChatGPTを業務で安全に使うには?
まず、会社で利用を認めるサービスやプランを確認し、入力してよい情報と禁止する情報を明確にしましょう。
さらに、アカウント管理、多要素認証、出力内容の確認、社員教育などを組み合わせることが大切です。具体的な設定やデータの取り扱い条件は、実際に利用するプランの公式情報で確認してください。
無料のAIサービスは企業で利用しても問題ない?
無料か有料かだけで、安全性を判断することはできません。
利用規約、データの保存・利用条件、管理機能、社内規程との整合性などを確認したうえで、業務利用の可否を判断しましょう。会社が認めていないサービスに機密情報を入力することは避けるべきです。
AIの社内利用を全面禁止すべき?
全面禁止が適切かどうかは、企業の業務内容や取り扱う情報、リスク許容度によって異なります。
高い機密性が求められる業務では利用を制限する必要がある一方、公開情報を使った文章作成などは、適切なルールのもとで活用できる場合があります。
禁止か自由利用かの二択ではなく、用途や情報の種類に応じて利用範囲を定めることが現実的です。
AIセキュリティ対策は何から始めればよい?
まずは、社内で利用されているAIサービスを把握し、どのような情報が入力されているのかを確認しましょう。
そのうえで、機密情報や個人情報の入力ルール、利用を認めるサービス、問題が起きたときの報告先を整備します。初めから完璧な仕組みを目指すのではなく、優先度の高いリスクから順番に対応することが大切です。
AIを安全に使うためには、サービスの料金や知名度だけで判断せず、情報の取り扱い条件と社内ルールを確認することが重要です。まずは社内の利用状況を把握し、入力禁止情報と利用可能なサービスを明確にしましょう。
まとめ|AIのセキュリティ対策はルール・技術・人材育成が重要
- 企業が押さえたいAIセキュリティ対策の基本
- 対策を進めるうえで重要な考え方
- 自社の対策状況を確認するための次のステップ
AIのセキュリティ対策では、情報漏洩、不正アクセス、誤情報の利用、AI特有の攻撃など、複数のリスクを把握する必要があります。
企業が取り組みたい基本的な対策は、次の7つです。
- AIの利用ルールと社内ガイドラインを整備する
- 機密情報や個人情報の入力を制限する
- 利用するAIサービスの安全性を確認する
- アカウント管理とアクセス権限を徹底する
- AIの出力結果を人間が確認する
- 社員向けのAIセキュリティ研修を実施する
- インシデント発生時の対応手順を決める
重要なのは、AIの利用を制限することだけを目的にせず、安全に活用するためのルールと体制を整えることです。
AIの活用範囲が広がるほど、技術的な対策だけでなく、社員一人ひとりが適切に判断できる環境も重要になります。
まずは自社のAI利用状況を把握し、情報管理や運用ルールに抜け漏れがないかを確認するところから始めてみましょう。
AIのセキュリティ対策は、ルール・技術・人材育成を組み合わせ、継続的に改善することが重要です。自社で利用しているAIと取り扱う情報を把握し、優先度の高い対策から段階的に進めましょう。
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利用ルール、情報管理、アカウント管理、AIの出力確認、社員教育などの項目を確認し、自社で優先して取り組むべき課題を整理するためにご活用ください。
生成AIを安全に活用するために、まずは現状の確認から始めましょう。
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